さて今回は久しぶりに私の購入したCDのコレクションをご紹介します。
前回のビル・エヴァンスのCDの次に買ったのがこのCDでした。
ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ演奏のショパンの
ピアノ協奏曲第一番と、グリーグのピアノ協奏曲の2本立てのアルバムです。
ステファンスカと言えば『ポーランドを代表するショパン弾き』と今なら
真っ先にイメージするのですが、高校に入ったばかりの田舎者にはそんな
知識など当然持ち合わせておりませんでした。
しかもこのCDを購入した動機はグリーグのピアノ協奏曲が入ったCDで
一番安いのはどれだ〜と思いながら探していると、これが目に入ったと言う
まあ何とも不純な動機だったと記憶しております(笑)。
当時軒並¥3,000オーバーの価格が多かった所、このCDは¥2,800だった
と言う部分に惹かれたのでしょうねぇ。
ソリストの事は全く気にせずに、値段で買ってしまう所がいかにもビンボ〜
でありますが、なけなしの小遣いを投資していたその頃は値段は最重要な
ファクターでありました。
なぜグリーグのピアノコンチェルトが欲しかったのか、今となっては記憶が
定かではないのですが、当時今と違ってロマンチストな青年だった事を思えば
感傷的なメロディーが気に入っていたのは容易に想像出来ます。
久しく聴いていなかったのですが、こうやって改めて聴き直してみると
ステファンスカのピアノは至極真っ当な、まさに正統派と言う言葉が
ピッタリの演奏であります。
いわゆる「歌い過ぎ」という部分が全くなく、本当に計算された正に
「ルバートの見本」と言っても過言では無いなー、と改めて感心しました。
ある意味まれに見る『クール』なグリーグだったのかもしれません。
が、それに気が付くのは随分後になってからでありました。
とても気に入っていたのですが、このCDは(多分私が購入したものだけか?)
いわゆる不良品でありまして、グリーグの一楽章の終わり長いピアノの
カデンツ後のTuttiの最後の最後の、正に曲の終わりの所(11:44位)で
ピッチが......突然半音下がっているのです(笑)。
いわゆるレコードでワウッている感じそのものなのですが、2枚目に手に入れた
CDが不良品だったと言う事にしばらくショックを隠せませんでした(笑)。
冷静に考えればレコード屋さんでまともなCDと交換してもらえば良かった
のですが、なぜかそのまま手元に残っております。
廃盤となってしまった今では、結果的にレアな一枚となって、ある意味
良かったのかもしれません(笑)。
もう一曲のショパンの方ですが、ポーランド代表ピアニストですからねー
上手いのは当然なのですが......
あまりに優等生な演奏で正直『つまらない』と思ったのか、それともショパンが
どうも「なよなよ」しているイメージが強くて好きになれなかったからなのか?
どうもピンと来なかった事を覚えております。
改めて聴いてみるとこちらもまれに見る『クール』なショパンですな。
一度振った事がある立場でコメントするなら、この曲をここまでパーフェクトに
コントロールした歌い方が出来ると言うのは、本当にスゴイ事だな〜と今頃に
なって気が付くのでありました。
動機を考えると本当にマグレだったのですが、もの凄くクオリティの高いCDを
手に入れていたんだなー、と改めて思いました。
シャケットの裏にステファンスカの写真が載っているのですが、これが何とも
キリッとした美人なのです(笑)。
ステファンスカの凄さに早く気が付いていれば、きっと生の演奏を聴きに行った
のでしょうが、既に亡くなられて8年くらいになる様です。
ショパンの2楽章を聴きながら(珍しくちょっとウルウルしております......)
改めてご冥福をお祈りすると共に、素敵な演奏を残して頂いた事に感謝する
次第であります。